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心葉 kokoloha

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2009年 10月 12日

「育児をがんばりなさい」

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この言葉が遺言になってしまった。




9月23日の夜

いつも洸平を可愛がってくれたり、野菜をくれたり、畑や郷土料理のことを教えてくれていたおばちゃん(すずこばぁ)が亡くなった。

24日の午後、お彼岸のために作ったおはぎを持って、洸平とすずこばぁの家に行った時、布団の上で既に冷たくなっていた。

その前日の夕方、いつものように洸平とすずこばぁの畑に行き、いつものように畑にしゃがみ込んで何気ない会話をしたのが最後だった。

妊娠7ヶ月の体で移住してきてすぐに、野菜をくれたり、怒られたり・・・

こんな人里離れたところで不安を感じることなく楽しく子育てができたのは、いつもすずこばぁが側にいてくれたから。


「こんな時間に出たら蚊に刺されるよ!」

「オムツなんてせんでいい!」

「裸んぼ大好き大好き」

「なっとる野菜勝手に採って行きなさい!」

「正月休みに大根を干すから、あんたも来なさい。すずこばぁが教えてあげる」

「すずこばぁの小さい頃は芋のつるでも食べよった。今はいい。何でも食べるものがある」

「すずこばぁが生きとるうちは、こうちゃんが食べるものに困らんようにいっぱい野菜作るからね~」

「こうちゃんが乳離れしたらすずこばぁが預かってあげるから、あんたも山や海に行っておいで」

「こうちゃん、歩き出したらいくらでも畑を走り回っていいからね~」

「まだ台風が来るから蒔いちゃいかんよ!首元が黒い鳥が畑に来るようになったらもう台風は来ないから、それから蒔きんさい!今はまだ種も高いし、虫もつき易いから、もったいない!」

「畑はがんばらんでいい。子育てをがんばりなさい」

すずこばぁの言葉が今でも心の中で生きている。

すずこばぁが亡くなってからちょっと経って、洸平を抱っこしてすずこばぁの畑に行った。
まだどこからか、すずこばぁの「こうちゃん!」という声が聞こえてきそうな気がした。
残された畑には、まだたくさんの夏野菜が実り、頂いた種だから試しに植えてみたという大根と小松菜の小さな芽が生え揃っている。
その大根と小松菜は、すずこばぁの言うとおり、虫に食べられ、今回の台風でほとんどが流されてしまった。

もっともっといろんなことを教わりたかった。
洸平に歯が生えたこと、前髪を切り揃えたこと、ハイハイし始めたこと、つかまり立ちができるようになったこと
そんな洸平の成長を誰よりも先に見てもらいたかった。

会えなくなっても、いつもいつも、空から私たちを見守ってくれている気がする。
               

                                                           阿弓

by wazofamily | 2009-10-12 16:34 | 自然に生きる


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