先日、いつも野菜をくださるおばあちゃんとゆっくりと話す機会があった。
畑の草取りの手を止め、木陰にしゃがみ込み、洸平を抱っこしてくれる。
いろいろ話すうちに、昔の話に。
「今はいい。なんでも食べ物がある。昔は、この芋づるも食べてたんだよ。
この前伸びた芋づるを手入れしとって、急に思い出してね。食べてみようかなぁ~って思ったね(笑)
正月は、豚を1頭つぶして塩漬けにしたのをおうどんやお蕎麦に入れてね。あれがご馳走だったね~」
そして、話はいつの間にか戦争のことに。
「この畑の上をね、ばばばばば~!って飛行機が通って鉄砲を撃つんよ。
芋畑に這いつくばって芋づるに隠れてね。怖かったよ~
敷布団を頭に乗せて、防空壕に走ったり。妹はまだ3歳だったけど、この前聞いたら、覚えとるって。
まぁ、でもあの鉄砲の光はきれいだねぇ~」
そのおばあちゃんは、当時7歳だったそう。
あの時の芋畑で今も毎日働いている。
作った野菜を出荷するわけでもなく。
親戚にあげたり、私たちにくださったり。
帰りぎわ、
「私も畑がんばらないとなぁ」
という私の言葉に、
「畑はがんばらんでいい。子育てをがんばりなさい」
と。
戦争を経験し、たくさん辛い思い出があるだろうこの場所で今でも野菜を作り、そして私たちをいつも気に掛けてくれる。
私は洸平に戦争を伝えていくことはできないけれど、おばあちゃんからいただく愛情をめーいっぱい伝えていこうと思った。
阿弓